研究の目的

天然雪結晶を正面から撮影した写真では、c軸方向の奥行きが一つの平面へ重なります。そこで、焦点位置を手前から奥へ移した連続画像を動画化し、どの枝が同じ位置で明瞭になるかを観察する教材を開発しました。

扱う標本

教材で使うのは、複数の結晶板が重なった「組み合わせ六花」や多層の結晶など、まさに奥行きが問題になる標本です。

いずれも、枝数の違う板や層が同じ視野に重なっている標本です。焦点という「高さの物差し」がもっとも力を発揮する相手を選んでいます。

教材上の流れ

いきなり答えを見せるのではなく、まず写真だけで立体構造を予想してから動画で確かめる、という探究の順番を大切にしています。

  1. 写真だけで立体構造を予想する
  2. 焦点移動動画を観察する
  3. 枝と結晶板の前後関係を整理する
  4. 回転・分解できる3Dモデルで確認する

この順番には理由があります。先に自分の予想を持ってから動画を見ると、「どの枝が先に合焦するか」という観察が、答え合わせの体験に変わるからです。

ピントの薄さそのものは、レンズの物理から来ています。倍率を上げるほど、また明るいレンズほど、ピントの合う奥行き(被写界深度)は薄くなり、顕微鏡撮影では紙の厚さにも満たないことが珍しくありません。裏を返せば、一枚の写真は結晶のある高さの「薄切り」だけを鮮明に写した、光学的な断面図です。焦点を送りながら撮った動画は、その断面図をぱらぱら漫画のように積み重ねて、失われた奥行きを取り戻す試みだと言えます。

観察事実と解釈を分ける:焦点差は前後関係を示しますが、形成過程を一意に決める証拠ではありません。

公開資料