Fairbanks · March 2016

アラスカのオーロラ

2016年3月、アラスカ州フェアバンクスで撮影した緑と赤のオーロラ、オーロラが見えない夜の星空を紹介します。

撮影:2016年3月写真整理・著作権表示:2026年8月12日

フェアバンクスでの撮影

オーロラ写真を、緑のオーロラ、赤いオーロラ、オーロラが見えなかった夜の星空の三つに分けて紹介します。

オーロラの色は、光っている高さと相手の違いを映しています。太陽から届いた電子が大気の原子や分子にぶつかると光が生まれ、よく見る緑は主に酸素原子が高度およそ100〜200kmで放つ光、赤は同じ酸素原子がさらに高い希薄な領域でゆっくり放つ光です。フェアバンクスはオーロラが現れやすい「オーロラ帯」のほぼ真下にあり、晴れて活動が高まった夜には、林の上いっぱいにカーテンが立ち上がります。

もう少しだけ踏み込むと、緑は波長557.7nm、赤は630nm——どちらも酸素原子が出す決まった色です。赤の光は「出るまでに時間のかかる」タイプの発光で、大気の濃い低い高度では、光る前にほかの分子との衝突でエネルギーを奪われてしまいます。だから赤は、衝突の少ない高い空でだけ生き残れる——緑の帯の上に赤が重なって見えるのは、高さの違う二つの層を同時に見ているからです。フェアバンクスが観測地として名高いのは、オーロラのもっとも現れやすい「オーロラ帯」と呼ばれる帯のほぼ真下に位置するためで、活動が特別強くない夜でも頭上に出る機会があります。

オーロラの説明は、 牟田淳『宇宙と物理をめぐる十二の授業』(オーム社、2010年) にあります。
カーテン状に広がる緑のオーロラ
カーテン状に広がる緑のオーロラ。撮影・著作:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

緑のオーロラ

カーテンのひだのような縦の筋は、電子が地球の磁力線に沿って降り込んでくることの現れです。シート状に降る電子が大気を光らせるため、遠くから見ると布のように波打って見えます。下の写真では、樹林や建物と比べることで、光の幕の大きさも感じ取れます。

赤いオーロラ

赤いオーロラは緑のオーロラより高い領域に現れることがあり、条件によっては赤い発光が目立つ場合があります。高いところほど大気は薄く、発光もゆっくりで淡いため、肉眼では色がはっきりしないのに、露光した写真でははっきり赤く写る——ということも珍しくありません。緑の帯の上にほんのり赤がのる写真は、高さの違う二つの層を一度に見ていることになります。

オーロラが見えないとき

オーロラは、太陽の活動と天気の両方に恵まれて初めて見えます。出ない夜もまた観測の一部で、そんな晩は冬のアラスカの澄んだ星空が主役になりました。待つ時間も含めて、オーロラ観測の記録です。

まとめると、色は光っている高さを、カーテンの形は磁力線を、そして写らない夜は天気と太陽活動の気まぐれを、それぞれ教えてくれます。一枚一枚の写真が、目に見えない超高層大気の観測記録でもあるのです。

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