Hands-on astronomy · Craft

プラトン式
プラネタリウムを作ろう

正十二面体の厚紙に星の穴をあけ、暗い部屋の壁や天井へ星空を投影する工作教材です。工程写真と印刷用型紙を見ながら作れます。

球のプラネタリウムを厚紙で作るのは大変ですが、正五角形12枚でできた正十二面体なら、球にかなり近い形を折り紙感覚で組み立てられます。古代ギリシアでは正多面体が自然界の元素と結びつけて考えられ、正十二面体には宇宙が割り当てられていました。「宇宙の形」とされた立体に星の穴をあけ、部屋いっぱいに星空を映す——理科と工作と物語がひとつになった教材です。穴の位置は実際の星図に対応しているので、完成後は壁に映った星座を星図と見比べる楽しみもあります。

原理はピンホールカメラと同じで、じつに単純です。小さな穴を通った光はまっすぐ進むので、中心近くに置いた光源から出た光は、穴の並び——つまり星図の形——をそのまま壁や天井へ拡大して届けます。穴を大きくすれば星は明るくなりますが、そのぶん像はにじんで大きくなる。この「明るさとシャープさの綱引き」を、穴の大きさを変えながら体で確かめられるのも、この工作の隠れた学びどころです。

公開日:2009年8月18日部品情報更新:2026年8月12日
工作前に必ず確認してください

刃物・穴あけ工具・低電圧の電気配線を扱います。子どもだけで作業せず、保護者または指導者が型紙、部品の適合、極性、絶縁、温度上昇、暗室の避難経路を確認してください。

暗室の投影写真、完成模型、正十二面体の線画を組み合わせたプラネタリウム工作教材紹介図
完成模型と、暗室で投影した星空を組み合わせた紹介図。写真・図:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

Plato & dodecahedron

かつて正十二面体は宇宙を表すものと考えられていた

球形のプラネタリウムを厚紙だけで作るのは簡単ではありません。そこで、五角形の面をつないで作る正十二面体なら、比較的組み立てやすいとして、この工作を紹介しています。

古代ギリシアでは、正多面体と自然界の元素を結び付ける考え方があり、正十二面体は宇宙全体を表す形とされました。宇宙の象徴と考えられた正十二面体で星空を映すところに、この工作の面白さがあります。

この教材は、学研『大人の科学マガジン Vol.09』を参考にして開発し、2009年8月1日の東京工芸大学「わくわく工芸ランド」で実施しました。正十二面体を宇宙の象徴として見る物語と、暗室に星空を映す体験を一つの工作にまとめています。

完成した正十二面体プラネタリウム
完成した正十二面体プラネタリウム。写真:© Atsushi Muta / Muta Laboratory
イベントで使う前に:主催者が事前に一度作り、必要時間、穴あけ方法、投影距離、暗室の安全、参加者の年齢に合わせて工程を調整してください。

Materials

用意するもの

そろえる物は、本体の紙、光る部品、切って組む道具の三系統です。以下は実際に試した構成の例で、同じ仕様なら同等品でも構いません。

正十二面体プラネタリウムの材料と部品
工作用紙、光源、電池ボックスなどの材料例。写真:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

本体と印刷

  • A4印刷に対応した白い工作用紙3枚
  • 強力両面テープ、のり、セロハンテープ
  • 固定用クリップ
  • A4プリンター(厚紙の対応範囲を確認)

現在おすすめする光源セット

  • 1~5V対応の白色LED豆電球
  • リード線付きE10豆球用ソケット
  • 単3形2本用・3V・スイッチとカバー付き電池ボックス
  • 単3形乾電池2本
  • 接続部を絶縁する部材

工作用の道具

  • はさみ、穴あけ、定規
  • 机を保護する木の板またはカッティングマット
  • コルクまたはゴムの柔らかいシート
  • 必要に応じて円形カッター、円形穴あけ
  • 大量準備用のディスクカッター

現在の部品で作る場合の標準構成(2026年8月確認)

紙製本体の近くで使うため、低電圧の白色LED、E10ソケット、単3形乾電池2本の3V電源を組み合わせます。型番は構成を具体化するための例です。販売状況や仕様は変わるため、購入前にメーカー表示を確認し、まず一台だけ試作してください。

部品構成例選ぶときの確認点
光源アーテック 低電圧LED豆電球 069816
白色・定格1~5V・外径約11.6mm
単3形2本の3V電源が定格内に収まります。豆電球ソケットへ取り付けられる製品です。LEDでも発熱や配光の偏りがあり得るため、完成後に連続点灯と投影の試験をします。
ソケットELPA PP-04NH(第一候補)
E10・20cmリード線付き
代替例:PP-01NH(E10・2個入り・リード線付き)
LEDの口金と同じE10を選びます。型紙の穴径は部品の実物に合わせて調整し、ソケットが抜けたり傾いたりしないよう固定します。
電池ボックスELPA UM-SC32NH
単3形2本・3V・スイッチ/カバー付き・リード線約15cm
スイッチ付きなら暗室で操作しやすく、カバー付きなら電池が外れにくくなります。同じ仕様の同等品でも構いません。
配線の接続使用する線径に合う圧着接続、またははんだ付け+熱収縮チューブなど指導者が事前に接続・絶縁し、子どもに裸線の処理をさせない構成を勧めます。ねじっただけの裸線や、抜けやすい仮止めのまま使用しません。
電池単3形乾電池2本新旧や種類の異なる電池を混ぜず、+/−表示どおりに入れます。保管時は電池を外します。
工作用紙A4印刷に対応した白い厚紙3枚プリンターの対応紙厚・坪量の範囲内で、折り線を付けられ、組み立て後に自立する紙を選びます。普通紙と厚紙を各1枚試してから必要枚数を印刷します。

購入前にそろえる条件

  • LEDの定格に3Vが含まれていること
  • LEDとソケットの口金がともにE10であること
  • ソケットと支持部品の実寸を測り、型紙の穴径を合わせること
  • 電池ボックスが単3形2本用・3Vで、スイッチとカバーを備えること
  • 一台を試作し、明るさ・光の広がり・温度・配線の固定を確認すること

光が弱いとき

壁までの距離を短くし、室内をより暗くし、星穴を少しずつ広げます。先に電圧を上げるのではなく、投影条件を調整してください。

投影像がぼやけるとき

光源を正十二面体の中心へ近づけ、LEDの向きと支持棒の位置を調整します。LEDは配光が製品ごとに異なるため、一台試作して確認します。

白熱豆電球を使うとき

電源電圧と電球の定格を一致させ、紙やテープとの距離、連続点灯時の温度を必ず確認してください。子ども向けイベントでは低電圧LEDを第一候補とします。

Printable templates

型紙PDFをダウンロード

このページで配布している型紙PDFは、星図と部品の形を変えずに収録しています。A4工作用紙へ、プリンター側の拡大・縮小を無効にして100%(原寸)で印刷してください。最初に普通紙で寸法と組み合わせを確認することを勧めます。

型紙の利用: 学校・科学館などの教育目的の非商用利用を想定しています。教材への組み込み、改変、再配布、商用利用は、利用条件お問い合わせを確認してください。

Preparation

イベント前の下準備

イベント会場ですべてを行うと時間がかかります。印刷や大きな穴の加工を担当者が事前に済ませると、参加者は星穴と組み立てに集中できます。

1

厚紙へ印刷する

A4印刷に対応した白い工作用紙へ、拡大・縮小をせず100%(原寸)で印刷します。厚紙がプリンターの対応範囲を超えないか、取扱説明書を確認してください。まず普通紙で一枚試すと安全です。

2

大量実施なら輪郭を下ごしらえする

イベントで多数作る場合は、ディスクカッターなどで各型紙を扱いやすい大きさへ分けておくと、参加者の作業時間を短縮できます。

3

支持棒用の大きな穴をあける

円形カッターを使う場合は、刃が滑らない作業台とカッティングマットを用意し、この工程は必ず大人または指導者が行ってください。

4

ソケット用・電線用の穴をあける

ソケット用の穴は部品よりわずかに小さくし、電線を通す小穴も準備します。現在使う部品の実寸を測り、型紙の穴径をそのまま前提にしないでください。

Workshop

イベントでのプラネタリウム作成

まず、暗闇の中の星空を体験する

工作を始める前に完成品を数分投影し、暗闇の中に星が広がる様子を体験してもらうと、作る目的が伝わりやすくなります。窓を遮光する場合は、出入口・誘導灯・避難経路を塞がず、安全な照度と監督体制を確保してください。

暗室で壁面に投影されたプラネタリウムの星空
暗室で投影したプラネタリウムの星空。写真:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

Cut & punch

原版を切り、星の穴をあける

1

原版にはさみを入れる

型紙の外形に沿って切り、折り線とのりしろを残します。

2

星に穴をあける

机を傷付けないよう、木の板とゴムまたはコルクのシートを敷き、星の位置に穴をあけます。

Dodecahedron body

補強用の筒と正十二面体本体を組み立てる

補強用の筒

本体が不安定にならないよう、型紙から補強用の筒を作り、強力両面テープで固定して本体へ取り付けます。

正十二面体本体

折り目を付け、型紙に記されたアルファベットが一致するように貼り合わせます。接着部をクリップで固定し、十分に安定してから次の面へ進みます。

Light source & stand

支持棒、光源、台を組み立てる

支持棒を巻いて固定し、ソケットを取り付ける円板を支持棒へ貼ります。LED豆電球をソケットへ取り付け、リード線を支持棒の横穴へ通します。

電池の向きと配線を必ず確認してください

電池は、使用する電池ボックスの+/−表示どおりに装着してください。写真に見える向きだけで判断せず、スイッチを切った状態で配線し、露出した接続部を絶縁します。LEDは製品によって極性があるため、点灯しないときは電池を外して説明書と配線を確認してください。短絡や温度上昇がないことを大人が確かめます。

支持棒と電池ホルダーを台へ固定し、点灯を確認してから正十二面体本体を取り付けます。点灯中は電球やソケットの温度を定期的に確認してください。

Complete

完成したら、暗い部屋で投影する

電気を消した瞬間、厚紙の中の小さな光が、部屋の壁と天井いっぱいの星空に変わります。自分で穴をあけた星が実際の星座の形に並ぶ——ここがこの工作いちばんの山場です。

本体を台へ取り付けたら完成です。部屋の壁や天井へ星の光が広がるよう、光源の位置、本体の向き、壁までの距離を調整します。

この工作の魅力は、模型を組み立てるだけでなく、暗闇の中で星空を体験し、正十二面体が宇宙の象徴とされた物語まで結び付けられる点にあります。

投影中の管理

可燃物を光源へ近付けず、無人のまま点灯しないでください。暗室ではつまずき防止と避難経路の確保を優先します。

台へ正十二面体本体を取り付けた完成状態
台へ取り付けた正十二面体プラネタリウムの完成状態。写真:© Atsushi Muta / Muta Laboratory

Use & references

利用条件・参考資料

出典を明記教材・型紙を授業やイベントで使う際は、「牟田研究室『プラトン式プラネタリウムを作ろう』」とこのページのURLを記してください。
教育イベント・非商用学校・科学館などでの教育目的の非商用利用を想定しています。転載、改変、再配布、商用利用は事前にお問い合わせください。
事前に試作イベント主催者が事前に一度作り、自分の会場と参加者に合わせて調整してください。
安全と成否は主催者が確認工作・配線・暗室運営の安全管理を含め、現在の部品と環境で実施可能か判断してください。

参考にした資料

この教材は、学研『大人の科学マガジン Vol.09(プラネタリウム)』と、MEGASTARで知られる大平貴之氏のプラネタリウム制作を参考にしています。