雪結晶グローバル分類 CP3 の立体モデル

柱状・板状結晶(CP3a 針付六花・CP3b 角柱付六花・CP3c 巻込骸晶付六花・CP3d 針付角板・CP3e 角柱付角板・CP3f 巻込骸晶付角板)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の【CP3:柱状・板状結晶(Plane crystals with column-type crystal)】は、六花や角板の周辺部に柱状結晶(針・角柱)や渦巻状の骸晶が成長したもので、ML では「縁高結晶」「渦巻(scroll)付」と呼ばれてなじみにくい名称だったため、新分類では「巻込骸晶」と名称を改め、6 つの小分類にしました。「針付六花」「角柱付六花」は主として六花の先端部から針または角柱が、「巻込骸晶付六花」は六花の先端付近に骸晶状の柱面が巻き込むような形で成長したもの。「針付角板」「角柱付角板」は角板の先端部から針または角柱が、「巻込骸晶付角板」は角板の先端付近に骸晶状の柱面が成長したものです。これらの結晶は観測例が非常に少なく、平均的な大きさは 0.5 mm です。

柱状部分は面に垂直。 針や角柱は c軸方向に伸びる柱状結晶で、六花や角板の c軸はその面に垂直です。土台と同じ単結晶として成長するので、針や角柱は板の面に対して垂直に、しかも互いに平行に立ちます。巻込骸晶は、板の縁に沿って柱面(六角柱の側面)が薄く骸晶状に立ち上がり、内側へ巻き込むように育ったもので、縁の高いカップのような形になります。モデルでは「c軸を表示」で面に垂直な c軸を出せます。

できかた。 一般に、六花や角板が落下の途中で柱状結晶の成長条件(針が育つ温度域など)に入り、板の縁や枝の先端の底面から c軸方向へ針・角柱が伸びたり、柱面が骸晶状に伸びたりしてできると考えられています。「柱状部分の成長」スライダーは、六花・角板だけの段階(0)から柱状部分が育った状態(100)までを再現します。鼓状結晶(CP1)や砲弾・板状結晶(CP2)が柱の底面に板が付いたものであるのに対し、CP3 は板の縁に柱が付いたものです。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、板の厚みなどの寸法比は見やすさのため誇張しています。

1. CP3a:針付六花Dendrite with needles

六花(樹枝六花)の枝の先端から針(C1a)が伸びた結晶です。針は先端の小さな板の底面から c軸方向、つまり面に垂直に立ち、上側と下側の両方に出ることがあります。真上から見るとふつうの六花に見えますが、「真横から」見ると先端に針が立っているのが分かります。

六花 針 c軸
構造のポイント
  • 土台は樹枝六花(側枝付きの 6 本の枝、先端に小さな板)。
  • 各枝の先端から細い針が面に垂直に伸びる。上向き・下向きがあり、長さはまちまち。
  • 針はすべて c軸に平行=互いに平行。「分解」で針を面から離して見られる。

2. CP3b:角柱付六花Dendrite with columns

六花の枝の先端から角柱(C3a)が伸びた結晶です。針付六花と同じく角柱は面に垂直に立ちますが、針より太く短い六角柱で、六角形の向きは六花の格子とそろいます。

六花 角柱 c軸
構造のポイント
  • 土台は CP3a と同じ樹枝六花。
  • 各枝の先端に六角柱が面に垂直に立つ。六角柱の頂点の向きは六花の枝の向きと同じ格子。
  • 針(CP3a)との違いは柱の太さだけで、付き方は同じ。

3. CP3c:巻込骸晶付六花Dendrite with scroll

六花の枝の先端付近で、柱面(六角柱の側面)が骸晶状に薄く立ち上がり、内側へ巻き込むように成長した結晶です。ML の「渦巻付」に当たります。モデルでは先端の板の外側半分の縁に、上または下へ立ち上がる薄い壁(内側に傾いた六角形の一部)を置いて、巻き込んだ柱面を表しています。

六花 巻込骸晶(柱面) c軸
構造のポイント
  • 土台は樹枝六花。先端の板の縁から柱面が薄く(骸晶状に)伸びる。
  • 柱面は c軸方向へ伸びながら内側へ巻き込むので、内側に傾いた壁になる。
  • 「真横から」で、板の先端に壁が立っていることが見える。

4. CP3d:針付角板Plate with needles

角板の先端部(六角形の角)から針が伸びた結晶です。針は角板の底面から c軸方向、つまり面に垂直に立ち、上側と下側に出ることがあります。真上からは針が点にしか見えないので、「真横から」や斜めから見ると分かりやすくなります。

角板 針 c軸
構造のポイント
  • 土台は六角形の角板。6 つの角の近くから針が面に垂直に伸びる。
  • 針はすべて互いに平行(c軸に平行)。上向き・下向きが混じる。
  • 「柱状部分の成長」を 0 にすると角板(P1a)だけになる。

5. CP3e:角柱付角板Plate with columns

角板の先端部(角)から角柱が伸びた結晶です。角柱は面に垂直に立ち、六角形の向きは角板とそろいます。針付角板より太く短い柱が角に並ぶ形になります。

角板 角柱 c軸
構造のポイント
  • 土台は角板。6 つの角の近くに六角柱が面に垂直に立つ。
  • 六角柱の向きは角板の六角形と同じ格子。
  • CP3d との違いは柱の太さ。鼓(CP1)とは逆に、板が土台で柱が付加部分。

6. CP3f:巻込骸晶付角板Plate with scroll

角板の先端付近、すなわち縁に沿って柱面が骸晶状に立ち上がった結晶です。縁が高くなってカップのような形になり、ML の「縁高」「渦巻付」という呼び名はこの形からきています。モデルでは角板の縁に、内側へ傾いた薄い六角形の壁を上下に置いて、巻き込んだ柱面を表しています。論文によれば観測例は非常に少ない型です。

角板 巻込骸晶(柱面) c軸
構造のポイント
  • 土台は角板。縁に沿って柱面が薄い壁として立ち上がる(骸晶状=中身が詰まっていない)。
  • 壁は c軸方向へ伸びながら内側へ巻き込む。上側は高く、下側は低めにしてある。
  • 「真横から」で縁高のカップ形が、「真上から」で内側に傾いた壁の六角形が見える。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(CP3 の定義、表3、図1-2 の代表写真)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • Magono, C. and Lee, C. W. (1966): Meteorological classification of natural snow crystals. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 2, 321–335.