Snow Crystal Classification

雪結晶の分類をやさしく見る

「雪の結晶」と聞くと六角形の樹枝を思い浮かべがちですが、専門的なグローバル分類は、柱、板、柱と板の組み合わせ、結晶同士の付着、雲粒付着、初期氷晶、不定形、その他の固体降水までを広く整理しています。

最初に知っておきたいこと

グローバル分類は、天然雪結晶を特徴的な形状と成長の型によって整理した専門的な分類体系です。全体は、8大分類、39中分類、121小分類から成ります。

雪結晶のグローバル分類8大分類。Cは針・鞘・角柱・砲弾、CPは柱の両端に板が直交する角板鼓、柱途中にも平行な板をもつ多重鼓、異なる平面の角板が交差する交差角板などを模式化した図
8大分類と代表的な中分類の概略図。 Cは針・鞘・角柱・砲弾を、CPはCP1a角板鼓・CP1c多重鼓・CP4a交差角板を例示しています。鼓の板は中央の柱に直交し、交差角板は異なる平面で交わります。原論文の写真を転載せず、分類定義と代表顕微鏡写真を参照して独自に作図しています。

CとCPは、どこが違う?

Cは針・鞘・角柱・砲弾などの柱状形態を中心とする群です。CP1の鼓では薄い板状結晶が六角柱の両端、または柱の途中に、柱の長手方向(c軸)と直交する向きで付きます。CP4の交差角板では、二枚以上の板が同じ平面ではなく異なる平面で交差します。

C柱状結晶群のC1針・C2鞘・C3角柱・C4砲弾と、CP柱状・板状結晶群のCP1a角板鼓・CP1c多重鼓・CP4a交差角板を立体的に比較した模式図
CとCPの比較。 CP1a角板鼓は六角柱の両端に薄い角板が付き、CP1c多重鼓は柱の途中にも複数の平行な板が付きます。CP4a交差角板は二枚の角板が異なる平面で交差します。図には代表例だけを示しています。

CPは「平面の記号」ではなく、立体構造として見る

CP1の鼓状結晶は、平面上の四角形の左右に六角形を付けた形ではありません。中央は六角柱で、その二つの基底面側に薄い角板または樹枝状の板が、柱の軸にほぼ直角に付きます。多重鼓では、柱の途中にも同じ向きの板が増えます。

CP柱状・板状結晶群の代表立体構造。六角柱の両端に角板が直交するCP1a角板鼓、両端に樹枝状板が付くCP1b樹枝鼓、柱途中にも平行な板が付くCP1c多重鼓、六花の枝先からc軸方向へ針が伸びるCP3a針付六花、二枚の角板が異なる平面で交差するCP4a交差角板
CP1a~CP4aの代表構造。 鼓では中央の六角柱と端の板は互いに直角です。図は分類定義と原論文図1-2の代表顕微鏡写真を参照した独自模式図で、写真の転載ではありません。

CP1a 角板鼓

六角柱の両端に薄い角板が一枚ずつ付く。二枚の角板は互いにほぼ平行で、中央の柱に直交する。

CP1b 樹枝鼓

角板の代わりに樹枝状の板が柱の両端に付く。中央の柱は板同士を平面内で結ぶ棒ではない。

CP1c 多重鼓

両端の板に加え、柱の途中からも角板などが伸びる。複数の板は柱に沿って段状に並ぶ。

CP3a・CP4a

針付六花では枝先からc軸方向へ針が伸び、交差角板では板同士が別の平面で交差する。

J-STAGEで原論文の分類表と図1-2(CP1a~CP4a)を確認する

大事な区別: P1~P8は「8大分類」ではありません。Pは8大分類の一つである板状結晶群、P1~P8はその中を分ける8つの中分類です。
大分類P:板状結晶群C・P・CP・A・R・G・I・Hの8群の一つ
中分類P1~P8角板状、扇状、樹枝状、複合板状など
小分類P3a・P3b・P3c星六花、樹枝六花、羊歯六花など

グローバル分類の8大分類

まず「どのような形や成長型の仲間か」を大分類で捉え、その後に中分類・小分類へ進みます。

P

板状結晶群

角板、扇、樹枝、多重六花、立体状・放射状など、板状に広がる結晶です。

  • P1~P8の8中分類
  • 一般に雪結晶らしい形が多い
板状結晶群P1~P8を見る
CP

柱状・板状結晶群

柱状形態と板状形態が一つの結晶に同居・交差する群です。鼓では柱の両端や途中に板が直交し、ほかに針付六花、交差角板、御幣、矛先、鴎などがあります。

  • CP1:角板鼓・樹枝鼓・多重鼓
  • CP3:針・角柱・巻込骸晶付六花
  • CP4~CP9:交差角板・低温型の複雑な結晶
CPの代表的な立体構造を見る
A

付着・併合結晶群

複数の柱状・板状・複合結晶が付着・併合した集合体です。大きな雪片につながります。

  • 柱状結晶の併合
  • 板状結晶の併合
  • 柱状・板状結晶の併合
雪片が集合する仕組みを見る
R

雲粒付結晶群

過冷却雲粒が結晶表面に付着したものです。原形が見える状態から、霰状雪・霰までを含みます。

  • 雲粒付結晶
  • 濃密雲粒付結晶
  • 霰状雪
雲粒付着と霰を見る
G

初期結晶群

発生初期の非常に小さな氷晶です。柱状、板状、多面体、多結晶の型があります。

  • 柱状氷晶
  • 板状氷晶
  • 多面体氷晶
  • 多結晶氷晶
初期氷晶の形を見る
I

不定形群

代表的な結晶形に当てはまりにくい氷粒、雲粒付雪粒、結晶破片をまとめた群です。

  • 氷粒
  • 雲粒付雪粒
  • 結晶破片
H

その他の固体降水群

凍結雲粒・凍結小雨滴、霙、凍雨、雹など、狭い意味の雪結晶以外の固体降水です。

  • 凍結降水
  • 凍雨

大まかに見分ける順序

1

単体の基本形を見る

細長い柱ならC、平たい板ならP、柱と板の特徴が同居すればCPをまず検討します。

2

付着・雲粒の有無を見る

複数の結晶が集まればA、雲粒が付着していればRとして整理します。

3

大きさと状態を確認する

発生初期の微小氷晶はG、破片や不定形粒子はI、その他の固体降水はHに分類します。

分類は成因を一意に決めるものではありません。 正面写真だけでは奥行き、結晶板の枚数、柱面と基底面、単結晶と多結晶を確定しにくい場合があります。焦点移動、側面観察、偏光観察などが必要になる標本もあります。

P:板状結晶群のP1~P8

一般の写真で目にする機会が多い板状結晶群は、さらに8つの中分類に分かれます。

板状結晶群PをP1角板状、P2扇状、P3樹枝状、P4複合板状、P5分離・多重六花状、P6立体状、P7放射状、P8非対称板状の8中分類に分けた概略図
P1~P8の概略図。見分けるための形の特徴を単純化しています。実際の天然雪結晶には境界的な標本があります。
P4

複合板状結晶

角板付六花、扇付六花、角板付樹枝など、異なる板状成長が一つの結晶に現れます。

角板付六花の写真を見る
P5

分離・多重六花状結晶

二花・三花・四花と、十二花・十八花・二十四花。分離した六花や複数板の重なりを扱います。

12花状多層結晶の動画を見る
P6

立体状結晶

角板や樹枝の先から、奥行き方向へ扇・樹枝が伸びた立体的な結晶です。

P6に近い写真を見る

このサイトの天然雪結晶写真で確かめる

分類名を写真だけで断定できない場合は、「~に近い」「暫定」と明記しています。

分類コードの読み方

P3b

Pは大分類の板状結晶群、3は中分類の樹枝状結晶、bは小分類の樹枝六花を表します。まず文字、次に数字、最後に小文字を見ると、分類の階層をたどれます。

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分類の出典

菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012)「中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―」『雪氷』74巻3号、223–241頁。

J-STAGEで原論文と分類表を見る

このページの図と説明は、一般向けに分類の階層と立体構造を整理した独自の概略図です。CP1a~CP4aの形は、原論文の分類定義と図1-2の偏光顕微鏡写真を参照しています。正式な分類表・代表顕微鏡写真・詳細な定義は原論文をご確認ください。