雪結晶のグローバル分類表 - 立体モデルもくじ

菊地ほか(2012)/Kikuchi et al.(2013)の 8 大分類・39 中分類・121 小分類

菊地ほか(2012)は、世界各地の観測をもとに雪結晶の「グローバル分類」を作成しました。観測地点は日本、カナダ、アラスカ、ノルウェー、スバールバル、スウェーデン、フィンランド、グリーンランド、南極(昭和基地・ドームふじ基地・マクマード基地・極点基地)など、北半球から南半球まで広範囲にわたります。Magono and Lee(1966)の 80 分類に対し、この分類は 121 分類からなり、うち 28 は 1968 年以降に極域で見つかった新しい結晶、7 は従来の分類を見直したもの、6 は凍結雲粒や小雨滴などの固体降水のために新設されたものです。

使い方。 表の小分類(C1a など)をクリックすると、その結晶の立体モデルに移動します。中分類(1. 針状結晶 など)をクリックすると、その中分類の解説ページの先頭に移動します。各モデルはドラッグで回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小でき、分解・成長・c軸表示などのスライダーが付いています。

記号の由来。 C: Column(柱状)、P: Plate(板状)、CP: Combination of column and plane crystals(柱状・板状)、A: Aggregation(集合)、R: Rime(雲粒)、G: Germ(胚、芽)、I: Irregular(不規則)、H: Other solid hydrometeor group(その他の固体降水群)。

C

柱状結晶群Column crystal group

4 中分類・15 小分類

柱のように、c軸(結晶主軸)の方向へ長く伸びた結晶の群です。Magono and Lee(1966)では別々の大分類だった N「針状結晶」と C「角柱状結晶」を統合し、針・鞘・角柱・砲弾の 4 中分類にまとめました。細い順に 針(C1)< 鞘(C2、中空)< 角柱(C3、中身が詰まる)で、一端が角錐にとがったものが砲弾(C4)です。それぞれ「単体・束状・集合(放射状)」という同じ枠組みで小分類されています。

P

板状結晶群Plane crystal group

8 中分類・29 小分類

平面的に広がった結晶の群で、いわゆる「雪の結晶」らしい六花はここに入ります。c軸は板の面に垂直で、a軸(六角形の頂点)の方向へ広がります。角板(P1)から、扇(P2)、樹枝(P3)へと枝分かれが進み、それらが組み合わさった複合板状(P4)、枝の数が変わった分離・多重六花(P5)、面の外へ立体的に育った立体状(P6)、多結晶の核から放射状に伸びた放射状(P7)、対称性の崩れた非対称板状(P8)と続きます。P5e・P5f・P8b は新分類で加えられました。

CP

柱状・板状結晶群Combination of column and plane crystals group

9 中分類・41 小分類

柱状の部分と板状の部分を合わせもつ結晶の群で、121 小分類のうち 41 を占める最大の群です。Magono and Lee(1966)の CP「角柱・板状組合せ」と S「側面結晶」を統合したうえで、1968 年以降に極域で見つかった骸晶状(CP6)・御幣状(CP7)・矛先状(CP8)・鴎状(CP9)を新たに加えました。前半(CP1〜CP5)は柱と板の組み合わせ方の違い、後半(CP6〜CP9)は −25 ℃以下の低温でしか見られない結晶で、そのほとんどが多結晶です。

A

付着・併合結晶群Aggregation of snow crystals group

3 中分類・3 小分類

複数の結晶が落下中にぶつかって付着し、雪片になったものの群で、新分類で新設されました。A は Aggregation(集合)の A です(合体・併合に使う Coalescence の C は柱状で使用済みのため)。降雪は単体の結晶よりも、数個から数十個が併合した雪片として降ることの方が多いので、併合したものを小分類にするのではなく、もとの結晶群ごとに 3 中分類として整理されています。同じ雲で同じ条件に育った結晶どうしが併合するのが一般的です。

R

雲粒付結晶群Rimed snow crystal group

4 中分類・14 小分類

落下中の結晶に過冷却の雲粒がぶつかって凍りつき、表面に付着したものの群です。R は中谷が用いた Rimed crystal の R。冬の間にもっとも頻繁に降ってくるのはこの雲粒付結晶で、北海道から九州までの日本海側では、北西の季節風による降雪のほとんどが、量の多い少ないはあっても雲粒付です。付着量が増えるにつれて 雲粒付(R1)→ 濃密雲粒付(R2)→ 霰状雪(R3)→ 霰(R4)と変わり、母体の形はしだいに見えなくなります。

G

初期結晶群Germ of ice crystal group

4 中分類・10 小分類

0.1 mm 以下の微小な氷晶(初期氷晶)の群で、G は Magono and Lee(1966)が使った Germ of snow crystal の Germ(胚・芽)の G です。雪結晶の素にあたり、中緯度の厳冬期に見られる細氷(ダイヤモンド・ダスト)もここに入ります。発生初期の結晶は視野の中で柱状だけ・板状だけということはほとんどなく、微小な交差角板なども混じるため、ML では 6 中分類だったものを、極域観測の充実を受けて 4 中分類・10 小分類に整理し直しました。

I

不定形群Irregular snow particle group

3 中分類・3 小分類

特に代表される結晶形がない粒子の群で、I は中谷の Irregular snow particle の I です。多くは積雪の表面から強い風で巻き上げられたものや、風雪の中で壊れたものです。結晶らしい形がまったく分からない氷粒(I1)、雲粒が付いたかけらの雲粒付雪粒(I2)、枝や板の形が残っている結晶破片(I3)の 3 中分類で、ML の I4「其の他」は除かれました。

H

その他の固体降水群Other solid hydrometeor group

4 中分類・6 小分類

雪結晶・氷晶以外の固体降水の群で、新分類で新設されました。中谷や Magono and Lee(1966)は霰を細かく分類していますが、凍雨・霙・雹は含めていません。一方、1949 年夏にカナダで開かれた「雪結晶国際分類特別委員会」の実用分類(Schaefer 1951)では 10 種のうち Code 9 に Ice Pellet(アメリカでは Sleet)、Code 0 に Hail が取り上げられています。これらを考慮して大分類に加えられ、H は hydrometeor(水物質)の頭文字です。極域では凍結雲粒や凍結小雨滴がしばしば観測されることも、この群を設けた理由の一つです。

分類記号の一覧(121 小分類)

論文の模式図一覧に対応する並びです。サムネイルは各ページの立体モデルを既定の視点・既定の設定のまま描き出したもので、クリックするとその結晶の立体モデルへ直接移動できます。

C 柱状 P 板状 CP 柱状・板状 A 付着・併合 R 雲粒付 G 初期結晶 I 不定形 H その他の固体降水

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • 菊地勝弘・梶川正弘(2011):雪の結晶図鑑.北海道新聞社.
  • Magono, C. and Lee, C. W. (1966): Meteorological classification of natural snow crystals. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 2, 321–335.
  • Nakaya, U. (1954): Snow Crystals, Natural and Artificial. Harvard Univ. Press./Schaefer, V. J. (1951): Snow and its relationship to experimental meteorology. Compendium of Meteorology, 221–234.

各ページの立体モデルは、上記の記載と代表写真をもとにした模式図です。厚みなどの寸法比は見やすさのため誇張しています。