雪結晶グローバル分類 H3 の立体モデル

凍雨(H3a 凍雨)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の【H3:凍雨(Ice pellet)】の小分類は「H3a:凍雨」の 1 つで、雨滴が氷結したり、雪片の大部分が融けて再び氷結してできた透明または半透明の氷の粒(直径 5 mm 未満)、またはそれが降る現象です。平均的な大きさは 200 µm から 5 mm です。なお、実用分類では Ice pellet(凍雨)を入れ、アメリカでは Sleet(霙)と断り書きを入れているので同義と解釈されますが、極域においては、凍雨は明らかに完全に凍結した球形の結晶と、完全に融解した雨滴が共存している状態が観測されることも珍しくありません。それは針状結晶が融解して完全な結晶形を保持していない状態とは別物と解釈できることから、この分類では霙と凍雨を別のものとしました。

2 つの成因。 下のボタンで、「雨滴が氷結した凍雨」(落下中に低温の層を通って雨滴がそのまま凍った球形の粒)と、「雪片が融けて再氷結した凍雨」(融解層でほとんど融けた雪片が、その下の寒気で再び凍った粒)を切り替えられます。後者は内部に融け残りの結晶が閉じ込められていることがあり、「内部を透視」で確かめられます。

雹(H4)との違い。 凍雨は直径 5 mm 未満で、透明または半透明の一様な氷の粒です。透明な層と半透明の層が相互に重なった直径 5 mm 以上の氷の粒は雹(H4a)になります。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。モデルは論文の記載をもとにした模式図です。

1. H3a:凍雨Ice pellet

雨滴が氷結したり、雪片の大部分が融けて再び氷結してできた、透明または半透明の氷の粒です。直径は 5 mm 未満です。

氷の粒 融け残りの結晶(透視時)
成因:
構造のポイント
  • 直径 5 mm 未満(平均 200 µm〜5 mm)の透明または半透明の氷の粒。
  • 雨滴が氷結したものは球(落下中はやや扁平)に近く、表面はなめらか。
  • 雪片が再氷結したものは表面に凹凸があり、内部に融け残りの結晶や気泡が閉じ込められることがある。
  • 層構造を持ち直径 5 mm 以上になると雹(H4a)。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(H 群と H3 の定義、表3)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • Schaefer, V. J. (1951): Snow and its relationship to experimental meteorology. Compendium of Meteorology, 221–234.(実用分類)