雪結晶グローバル分類 CP5 の立体モデル

柱状・板状の不規則結晶(CP5a 角柱・砲弾・交差角板の不規則結晶)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の【CP5:柱状・板状の不規則結晶(Irregular crystal of combination of columns and planes type crystal)】は、Magono and Lee(1966)の S3「側面、砲弾、角柱の不規則集合」に対応する中分類で、小分類は「CP5a:角柱・砲弾・交差角板の不規則結晶」の 1 つだけです(分類表では「不規則集合」とも表記されています)。角柱、砲弾、交差角板が中心核からランダムに成長した結晶で、ML では側面結晶の一種として分類されていましたが、新分類で柱状と板状の組み合わせとしての位置づけがはっきりしました。平均的な大きさは 2 mm と、柱状・板状結晶群の中では大きめです。

構造。 中心にあるのは多結晶の核で、結晶粒ごとに c軸の向きが違います。それぞれの粒から、角柱(c軸方向に伸びる)、砲弾(角錐側を中心に向ける)、交差角板(接合線が中心から伸びる)が育つため、種類も向きもそろわない不規則な集合になります。モデルでは角柱 2 本、砲弾 3 本、交差角板 3 組を 8 方向に配置し、「c軸を表示」で各部分の c軸(角柱・砲弾は軸方向、交差角板は板に垂直)を出せます。

似た型との違い。 砲弾集合(C4d)やその先に角板・樹枝が付いた CP2c・CP2d は砲弾だけが整って放射状に並びますが、CP5a はいろいろな結晶が不規則に混じります。放射状結晶(P7)も多結晶の核からの放射状成長ですが、伸びるのは角板や樹枝などの板状結晶だけです。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、板の厚みなどの寸法比は見やすさのため誇張しています。

1. CP5a:角柱・砲弾・交差角板の不規則結晶Irregular crystal of combination of columns, bullets and crossed plates

中心の多結晶核から、角柱・砲弾・交差角板がそれぞれ別の向きに伸びた結晶です。「分解」で各部分を中心から離すと、角柱(六角柱)、砲弾(一端が角錐の柱)、交差角板(接合線を共有して V 字に開いた 2 枚の板)という 3 種類の部品からできていることが分かります。真上・真横のどちらから見ても対称性はありません。

角柱 砲弾 交差角板 中心核(多結晶) c軸
構造のポイント
  • 中心核は向きの異なる結晶粒の集まり(多結晶)。P7 放射状結晶の核と同じ考え方。
  • 角柱は粒の c軸方向へまっすぐ伸びる六角柱。砲弾は角錐側を中心に向けた柱で、砲弾集合と同じ付き方。
  • 交差角板は接合線が中心から放射状に伸び、2 枚の板が V 字に開く(放射交差角板 CP4c と同じ付き方)。
  • 3 種類が混じり、向きもそろわないため不規則な集合になる。「分解」で部品ごとに、「c軸を表示」で向きのばらつきを確認できる。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(CP5 の定義、表2・表3、図1-2 の代表写真)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • Magono, C. and Lee, C. W. (1966): Meteorological classification of natural snow crystals. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 2, 321–335.(S3)