雪結晶グローバル分類 H1 の立体モデル
凍結降水(H1a 凍結雲粒・H1b 連鎖凍結雲粒・H1c 凍結小雨滴)
グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の『H:その他の固体降水群(Other solid hydrometeor group)』は、中谷や Magono and Lee(1966)では考慮されていなかった分類です。中谷や ML では霰は細かく分類されていますが、「その他の固体降水」としての凍雨・霙・雹は含まれていません。しかし 1949 年夏のカナダで中谷も出席した「雪結晶国際分類特別委員会」では、実用分類(Classification of Solid Precipitation)として 10 種に分け、Code 番号 9 で Ice Pellet(アメリカでは Sleet)、Code 番号 0 で Hail を取り上げています。これらのことも考慮し、新分類では『H:その他の固体降水群』として大分類に加えました。【H1:凍結降水(Frozen hydrometeor particle)】は、中緯度帯では雪の結晶以外の固体降水といえば霙を含めることにして稀に凍雨・雹があげられますが、極域ではその低温条件からしばしば凍結した雲粒や、雲粒より大きく雨滴より小さい凍結小雨滴が観測されることから設けられました。平均的な大きさは 10 µm から 200 µm です。
大きさで区別する。 「H1a:凍結雲粒」は雲粒の凍結したもので、大きさは 10 µm 以上 50 µm 以下です。「H1c:凍結小雨滴」は直径 100〜150 µm ほどで、共存する雲粒の数倍から十数倍の大きさなので容易に区別できます(直径 200 µm 以下の小雨滴)。各モデルの「雲粒と大きさを比べる」を入れると、同じ倍率の雲粒を並べて大きさの違いを確かめられます。
スピキュールとスパイク。 凍結小雨滴(H1c)は単独で降ってくることもありますが、雪の結晶に付着している場合の方が多く、結晶表面で凍結したと思われる小雨滴には、その表面からスピキュール(Spicule:針状突起)やスパイク(Spike:釘状の突起物)といわれる突起が出ているものがあります。これらの小雨滴には、母結晶と同じ主軸を持ったものや、母結晶とは別に多結晶に凍るものもあります。
画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、寸法比は見やすさのため誇張しています。
1. H1a:凍結雲粒Frozen cloud particle
雲粒が凍結したもので、大きさは 10 µm 以上 50 µm 以下です。もとが球形の水滴なので、ほぼ球に近い形をしています。「凍結による変形」スライダーを上げると、凍るときに表面が少し盛り上がったり角ばったりした様子になります。
構造のポイント
- もとが球形の雲粒なので、ほぼ球に近い形。大きさは 10〜50 µm。
- 凍結するときに体積が増えるため、表面がわずかに盛り上がったり角ばったりすることがある。
- これが結晶に付着したものが雲粒付結晶(R 群)。
2. H1b:連鎖凍結雲粒Chained frozen cloud particles
その名のとおり凍結雲粒が数珠つなぎ状になったもので、単一のもの(H1a)よりも連鎖状のものの方が多く見られ、時には数十個が連なることも珍しくありません。「連なる数」スライダーで 2 個から 24 個まで変えられます。
構造のポイント
- 凍結雲粒が数珠つなぎ状に連なったもの。単一のものより連鎖状の方が多い。
- 連なる数は数個から、時には数十個。鎖は曲がったり枝分かれしたりする。
- 1 個ずつの大きさは凍結雲粒(H1a)と同じ 10〜50 µm。
3. H1c:凍結小雨滴Frozen small rain drop
直径 200 µm 以下の小さい雨滴が凍結したものです。単独で降ってくることもありますが、雪の結晶に付着している場合の方が多く、結晶表面で凍結したと思われる小雨滴には、スピキュール(針状突起)やスパイクといわれる突起が出ているものがあります。下のボタンで「単独」と「結晶に付着」を切り替えられ、「突起を表示」でスピキュール・スパイクを出せます。
構造のポイント
- 直径 100〜150 µm ほど(200 µm 以下)。共存する雲粒の数倍〜十数倍なので容易に区別できる。
- 結晶表面で凍結したものには、表面からスピキュール(針状突起)やスパイク(釘状の突起物)が出ているものがある。
- 母結晶と同じ主軸を持ったものや、母結晶とは別に多結晶に凍るものもある。
参考文献
- 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(H 群と H1 の定義、表3、図1-3 の代表写真)
- Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
- Schaefer, V. J. (1951): Snow and its relationship to experimental meteorology. Compendium of Meteorology, 221–234.(実用分類)