雪結晶グローバル分類 R1 の立体モデル

雲粒付結晶(R1a 雲粒付柱状・R1b 雲粒付角板・R1c 雲粒付六花・R1d 雲粒付立体)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の『R:雲粒付結晶群(Rimed snow crystal group)』の R は、中谷が用いた Rimed crystal の R です。雪の結晶の代表といえば樹枝六花や星六花のような六花ですが、冬の間にもっとも頻繁に降ってくるのは雲粒付結晶で、北海道から九州までの日本海側では、北西の季節風による降雪のほとんどが、量の多い少ないはあっても雲粒付です。『R』群は結晶への雲粒の付着量によって中分類を 4 つ(R1 雲粒付結晶・R2 濃密雲粒付結晶・R3 霰状雪・R4 霰)に分ける Magono and Lee(1966)の分け方を踏襲しています。【R1:雲粒付結晶(Rimed crystal)】は母体の結晶の形によって、「R1a:雲粒付柱状」(針・角柱状などをまとめたもの)、「R1b:雲粒付角板」(角板に限る)、「R1c:雲粒付六花」(六花に代表される樹枝状や複合板状の結晶で、個々の小分類は特定しない)、「R1d:雲粒付立体」(広い意味の立体状結晶と放射状結晶を合わせたもの)の 4 小分類です。平均的な大きさは母体の結晶形と同じです。

雲粒付とは。 落下中の結晶に過冷却の雲粒がぶつかって凍りつき、小さな粒として結晶の表面に付いたものです。雲粒は落下の前面(下面)にぶつかりやすいので、多くは片面に付きます。付着量が増えるにつれて雲粒付(R1)→濃密雲粒付(R2)→霰状雪(R3)→霰(R4)と変わり、母体の形はしだいに見えなくなります。各モデルの「雲粒の付着量」スライダーで、無垢の結晶から雲粒付、さらに濃密雲粒付に近い状態までをたどれます。

立体状結晶(P6)との違い。 P6 では付着凍結した雲粒を核にして新しい結晶(扇・樹枝)が面の外へ成長しますが、雲粒付結晶では雲粒が付いているだけで、雲粒から結晶は成長していません。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、雲粒の大きさや板の厚みなどは見やすさのため誇張しています。

1. R1a:雲粒付柱状Rimed column

針や角柱などの柱状結晶に雲粒が付いたものです。モデルは横に寝かせた角柱を母体にし、上側の柱面を中心に雲粒を付けています。「雲粒の付着量」を上げると柱面が雲粒で覆われていきます。

母体:角柱 凍結雲粒
構造のポイント
  • 母体は針・角柱などの柱状結晶(モデルは角柱)。
  • 雲粒は主に片側(落下の前面)の柱面に付く。
  • 付着量が増えると濃密雲粒付柱状(R2a)へ。

2. R1b:雲粒付角板Rimed plate

角板に雲粒が付いたものです。母体を角板に限定した小分類で、モデルは六角形の角板の上面を中心に、縁にも雲粒を付けています。

母体:角板 凍結雲粒
構造のポイント
  • 母体は角板(P1a)。六角形の輪郭は雲粒が付いても見えている。
  • 雲粒は主に片面に付き、縁にも付く。
  • 付着量が増えると濃密雲粒付角板(R2b)へ。

3. R1c:雲粒付六花Rimed dendrite

六花に雲粒が付いたものです。六花に代表される樹枝状結晶や複合板状結晶をまとめた小分類で、個々の小分類の結晶は特定しません。モデルは樹枝六花を母体にし、主枝と側枝の上に雲粒を付けています。

母体:樹枝六花 凍結雲粒
構造のポイント
  • 母体は六花(樹枝六花・星六花・扇六花・複合板状結晶など)。
  • 雲粒は枝の上に付き、枝の間の隙間には付かない。
  • 付着量が増えると濃密雲粒付六花(R2c)、さらに六花霰状雪(R3a)へ。

4. R1d:雲粒付立体Rimed spatial branches

立体状結晶や放射状結晶(広い意味での立体的な結晶)に雲粒が付いたものです。モデルは樹枝六花の枝から樹枝が立ち上がった立体樹枝付樹枝(P6d)を母体にし、平面の枝と立ち上がった枝の両方に雲粒を付けています。

母体:立体状結晶 凍結雲粒
構造のポイント
  • 母体は立体状結晶(P6)や放射状結晶(P7)。モデルは立体樹枝付樹枝。
  • 雲粒は平面の枝にも、立ち上がった枝にも付く。
  • 付着量が増えると濃密雲粒付立体(R2d)へ。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(R 群と R1 の定義、表3、図1-3 の代表写真)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • Magono, C. and Lee, C. W. (1966): Meteorological classification of natural snow crystals. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 2, 321–335.(R1a〜R1d)