雪結晶グローバル分類 R3 の立体モデル

霰状雪(R3a 六花霰状雪・R3b 塊霰状雪・R3c 枝付霰状雪)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の【R3:霰状雪(Graupel-like snow)】は、濃密雲粒付結晶(R2)からさらに付着した雲粒の量が増えて霰に近くなったものの、まだ霰にはなっていない状態の結晶です。「R3a:六花霰状雪」は母体の六花が何とか確認できる状態、「R3b:塊霰状雪」は母体が単に塊状になった状態、「R3c:枝付霰状雪」は塊状になった雲粒から枝が伸びたり(Fujiyoshi 1985)、枝の先端部分だけが雲粒の塊から見えている状態です。平均的な大きさは、雲粒の分だけ母体の結晶よりかなり大きくなります。

R2 との違い。 濃密雲粒付結晶(R2)では雲粒に覆われていても母体の形がはっきり判別できますが、霰状雪(R3)では雲粒が枝の間まで埋めて塊になりかけ、母体はやっと分かる程度か、塊の中に隠れてしまいます。それでも六角形の輪郭や枝の先端が残っている間は霰状雪で、完全に雲粒だけの塊になると霰(R4)になります。各モデルの「雲粒の付着量」スライダーは、濃密雲粒付に近い状態から霰状雪を経て、霰に近い状態までを再現します。

枝付霰状雪の枝。 雲粒の塊から出ている枝は雲粒の付いていないきれいな枝で、雲粒が付いたあとに塊から新たに伸びた枝(Fujiyoshi 1985)か、もとの結晶の枝の先端が塊から顔を出しているものです。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、雲粒の大きさなどは見やすさのため誇張しています。

1. R3a:六花霰状雪Graupel-like snow of hexagonal shape

六花に雲粒が枝の間まで積もり、母体の六花が何とか確認できる程度になったものです。モデルは樹枝六花の上に雲粒を何層にも積み、枝の間も中心側から埋めていったもので、全体は太い 6 本の腕をもつ六角形に近い塊になります。

母体:樹枝六花 凍結雲粒
構造のポイント
  • 母体は六花。雲粒が枝を覆うだけでなく枝の間も埋め、何層にも重なる。
  • 6 本の腕をもつ六角形の輪郭は残るので、六花だったことが何とか分かる。
  • 「雲粒の付着量」0 ≒ 濃密雲粒付六花(R2c)、100 ≒ 六花霰(R4a)に近い。

2. R3b:塊霰状雪Graupel-like snow of lump shape

母体の結晶が雲粒の中に埋もれて、単に塊状になったものです。モデルは角板を母体にし、その周りに雲粒が丸い塊として積もったもので、付着量が少ないうちは角板の縁が塊からのぞいています。

母体:角板 凍結雲粒
構造のポイント
  • 母体(モデルは角板)が雲粒の塊の中にほぼ隠れる。輪郭は丸みを帯びた塊。
  • 雲粒は中心から外へ向かって積もり、塊が大きくなる。
  • 「雲粒の付着量」100 ≒ 塊霰(R4b)に近い。

3. R3c:枝付霰状雪Graupel-like snow with non-rimed branches

雲粒の塊から雲粒の付いていない枝が伸びている、または枝の先端だけが塊から見えているものです。モデルは中心の雲粒の塊から樹枝状の枝が 4 本出ているもので、「雲粒の付着量」を上げると塊が大きくなって枝の根元から埋もれ、先端だけが見える状態になります。

雲粒の付いていない枝 雲粒の塊
構造のポイント
  • 中心は雲粒の塊(霰状雪)。そこから雲粒の付いていない樹枝状の枝が伸びる。
  • 枝は、雲粒が付いたあとで塊から新たに伸びたものか、もとの枝の先端が塊から出ているもの。
  • 「雲粒の付着量」を上げると塊が枝を埋め、先端だけが見える状態になる。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(R3 の定義、表3、図1-3 の代表写真)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • Fujiyoshi, Y. and G. Wakahama (1985): On snow particles comprising an aggregate. J. Atmos. Sci., 42, 1667–1674.
  • Magono, C. and Lee, C. W. (1966): Meteorological classification of natural snow crystals. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 2, 321–335.(R3a〜R3c)