雪結晶グローバル分類 R4 の立体モデル
霰(R4a 六花霰・R4b 塊霰・R4c 紡錘霰)
グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の【R4:霰(Graupel)】は、母体の結晶がはっきり分からないほど付着した雲粒の量が増え、完全に霰になった状態のもので、外形だけで分類します。霰は英語では soft hail ですが、一般にはドイツ語の Graupel が使われています。「R4a:六花霰」はまだ六花の形がわずかに残る状態、「R4b:塊霰」は丸い塊状になった状態、「R4c:紡錘霰」は霰の中でもっとも多く見られるもので、塊のようにも紡錘状にも見える霰です。平均的な大きさは 1〜3 mm です(透明な層と半透明の層が重なった直径 5 mm 以上の氷の粒は雹で、『H:その他の固体降水群』に入ります)。
霰は雲粒付結晶の行き着く先。 雲粒付(R1)→濃密雲粒付(R2)→霰状雪(R3)と付着量が増え、雲粒の塊の中に母体が完全に埋もれると霰(R4)です。モデルは雲粒だけで外形をつくり、「中の母体を透視」を入れると、雲粒を半透明にして埋もれた母体(六花・角板)を見ることができます。「雲粒の付着量」スライダーは、霰が中心から外へ育っていく途中から完成した霰までを再現します。
3 型の違いは輪郭。 六角形の輪郭がわずかに残れば六花霰、丸ければ塊霰、一方が細くとがった紡錘形(円錐形)なら紡錘霰です。紡錘霰は、落下中に雲粒が主に一方の面に付き続けてできると考えられています。
画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、雲粒の大きさなどは見やすさのため誇張しています。
1. R4a:六花霰Hexagonal graupel
雲粒の塊の輪郭に、まだ六花の形がわずかに残っている霰です。母体の六花はほぼ完全に雲粒に埋もれていますが、六つの角がわずかに張り出した六角形の輪郭から、もとが六花だったことが分かります。
構造のポイント
- 雲粒の塊の輪郭は、六つの角がわずかに張り出した六角形。厚みは中心ほど厚い。
- 母体の六花は塊の中に埋もれて見えない(「中の母体を透視」で確認できる)。
- 六花霰状雪(R3a)との違いは、六花が「何とか確認できる」か「わずかに残る」かの程度。
2. R4b:塊霰Lump graupel
丸い塊状になった霰です。母体の形は輪郭に残っておらず、雲粒の丸い塊そのものになっています。
構造のポイント
- 雲粒の塊の輪郭はほぼ丸く、少しいびつ。
- 母体(モデルは角板)は中心に埋もれていて外からは分からない。
- 塊霰状雪(R3b)からさらに雲粒が増えて丸くなったもの。
3. R4c:紡錘霰Cone graupel
塊のようにも紡錘状にも見える霰で、霰の中でもっとも多く見られます。一方の端が丸く広く、反対側が細くとがった円錐形(紡錘形)で、落下中に雲粒が主に一方の面に付き続けることでこの形になると考えられています。モデルはとがった側を上にしてあります。
構造のポイント
- 一方が丸く広く、他方が細くとがった円錐形(紡錘形)。「真横から」で形がよく分かる。
- 母体の小さな結晶はとがった側の近くに埋もれている(「中の母体を透視」で確認できる)。
- 雲粒が一方の面に付き続けて片側だけが広がることでできる。
参考文献
- 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(R4 と H4 の定義、表3、図1-3 の代表写真)
- Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
- Magono, C. and Lee, C. W. (1966): Meteorological classification of natural snow crystals. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 2, 321–335.(R4a〜R4c)