雪結晶グローバル分類 G3 の立体モデル

多面体氷晶(G3a 十四面体氷晶・G3b 二十面体氷晶)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の【G3:多面体氷晶(Polyhedral type ice crystal)】は、通常見られる結晶が底面二面と柱面六面の八面体からなる角柱であるのに対して、それ以外のピラミッド面が成長した結晶です。論文がここで使用した写真は、アラスカ・フェアバンクスのアイス・フォッグの中から大竹武によって撮られたものです(Ohtake 1970)。「G3a:十四面体氷晶」は、底面二面と上下のピラミッド面十二面からなります。「G3b:二十面体氷晶」は、底面二面と上下のピラミッド面十二面に、それらに挟まれた柱面六面を加えた二十面で囲まれた結晶で、天然では滅多に見られませんが、山下(1974;1979)は球形の凍結微水滴から 20 面体の構造をもつ氷晶の成長過程を報告しています。平均的な大きさは十数 µm から 50 µm です。

面の数え方。 ふつうの角柱氷晶は、底面(c軸に垂直な上下の面)2 面+柱面(側面)6 面の 8 面です。これに、底面と柱面の間を斜めに切るピラミッド面が上下に 6 面ずつ(計 12 面)加わると、8 − 6 + 12 = 14 で十四面体(柱面が消えた場合)、柱面 6 面も残れば 2 + 12 + 6 = 20 で二十面体になります。各モデルの「面の色分け」を入れると、底面・ピラミッド面・柱面を色で区別して数えられます。

モデルの見方。 氷晶は数十 µm と小さいので、モデルは大きく拡大した模式図です。「ピラミッド面の傾き」スライダーで面の角度を変えられ、G3b では「柱面の幅」スライダーで柱面の広さを変えると、柱面が消えたときに十四面体(G3a)になることが分かります。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、寸法比は見やすさのため誇張しています。

1. G3a:十四面体氷晶14-faces polyhedral ice crystal

底面二面と上下のピラミッド面十二面、合わせて十四面からなる氷晶です。上下の六角錐台を底面どうしで合わせたような形で、柱面(側面)はありません。「ピラミッド面の傾き」スライダーで、ピラミッド面の角度(底面の広さ)を変えられます。

底面(2 面) ピラミッド面(12 面) c軸
構造のポイント
  • 底面 2 面(c軸に垂直)+ピラミッド面 12 面(上下に 6 面ずつ)= 14 面。
  • 柱面(側面)がなく、上下の六角錐台を合わせたような形。「真横から」で断面の形が分かる。
  • 大きさは十数〜50 µm。アイス・フォッグの中で観測された(Ohtake 1970)。

2. G3b:二十面体氷晶20-faces polyhedral ice crystal

底面二面と上下のピラミッド面十二面に、それらに挟まれた柱面六面を加えた二十面で囲まれた氷晶です。天然では滅多に見られませんが、山下(1974;1979)は球形の凍結微水滴から 20 面体の構造をもつ氷晶が成長する過程を報告しています。「柱面の幅」スライダーを 0 にすると柱面が消え、十四面体(G3a)と同じ形になります。

底面(2 面) ピラミッド面(12 面) 柱面(6 面) c軸
構造のポイント
  • 底面 2 面+ピラミッド面 12 面+柱面 6 面= 20 面。柱面はピラミッド面に挟まれた帯状の面。
  • 「柱面の幅」0 で十四面体(G3a)、上げるほど柱面が広くなり角柱に近づく。
  • 天然では滅多に見られない。山下(1974;1979)が球形の凍結微水滴からの成長過程を報告。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(G 群と G3 の定義、表3、図1-3 の代表写真)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • Ohtake, T. (1970): Unusual crystal in ice fog. J. Atmos. Sci., 27, 509–511.
  • 山下晃(1974):大型低温箱を使った氷晶の研究.気象研究ノート,123,49–94./山下晃(1979):自由落下中に成長する人工雪の結晶―凍結微水滴からの成長―.日本結晶成長学会誌,6,41–51.