雪結晶グローバル分類 G1 の立体モデル

柱状氷晶(G1a 角柱氷晶・G1b 扁平角柱氷晶)

グローバル分類(菊地ほか 2012;Kikuchi et al. 2013)の『G:初期結晶群(Germ of ice crystal group)』の G は、Magono and Lee(1966)が使った Germ of snow crystal の Germ(胚・芽の意)の G です。いわゆる氷晶や初期氷晶と呼ばれる雪の結晶の素にあたり、柱状氷晶か板状氷晶が多いのですが、発生初期の結晶は顕微鏡の視野の中で全部が柱状または板状だけということはほとんどなく、多くの場合、微小な交差角板などを含めて混在しています。そのため ML では 6 中分類だけだったものを、新分類では 4 中分類・10 小分類にして新たな『G』群としました。これは極域観測の充実による成果です。【G1:柱状氷晶(Column type ice crystal)】は、氷晶の多くが微小な凍結雲粒から成長したものであることから圧倒的に多い型で、中緯度の厳冬期に見られる細氷(ダイヤモンド・ダスト)の代表的な結晶形です。平均的な大きさは十数 µm から 50 µm です。

角柱氷晶と扁平角柱氷晶。 「G1a:角柱氷晶」はもっとも代表的な氷晶で、結晶化した当初はいわゆる無垢の氷で詰まった結晶のことが多く、大きくなるにつれて骸晶構造のものが増え始め、ときには結晶主軸(c軸)に直交して中央に細く浅い溝(groove)ができるものもあります。「G1b:扁平角柱氷晶」は、角柱の相対する柱面の 2 面だけが大きく成長し、他の 4 面が極端に薄くなって見かけ上四角形になった扁平な角柱です(樋口 1968)。

モデルの見方。 氷晶は数十 µm と小さいので、モデルは大きく拡大した模式図です。G1a では「成長」スライダーで、小さく無垢な状態から、大きくなって両端が骸晶化した状態までをたどれます。G1b では「扁平の度合い」スライダーで、ふつうの角柱から扁平角柱への変化を見られます。

画面をドラッグすると回転、ホイール(スマートフォンではピンチ)で拡大縮小できます。各モデルは論文の記載と代表写真をもとにした模式図で、寸法比は見やすさのため誇張しています。

1. G1a:角柱氷晶Column ice crystal

もっとも代表的な氷晶で、微小な六角柱です。結晶化した当初は無垢の氷で詰まっていますが、大きくなるにつれて骸晶構造のものが増え、主軸に直交する細く浅い溝が中央にできることもあります。「成長」スライダーを上げると大きくなりながら両端に骸晶のくぼみが現れ、「中央の溝を表示」で溝の付いた角柱氷晶になります。

角柱氷晶 c軸
構造のポイント
  • 微小な六角柱。c軸は柱の軸方向。当初は無垢(中身が詰まった状態)。
  • 大きくなると両端の底面から骸晶構造(くぼみ)が現れる(「成長」を上げると再現)。
  • c軸に直交して中央に細く浅い溝ができるものもある(表示切替)。

2. G1b:扁平角柱氷晶Tabular column ice crystal

角柱の相対する柱面の 2 面だけが大きく成長し、他の 4 面が極端に薄くなった扁平な角柱です(樋口 1968)。大きく成長した 2 面を上から見ると四角形に見えます。モデルは大きな 2 面を上下にして横に置いてあり、「扁平の度合い」スライダーで、断面が正六角形に近い角柱から極端に扁平な角柱まで変えられます。断面の形は「真横から」(c軸の方向から)で確認できます。

扁平角柱氷晶 c軸
構造のポイント
  • 断面は一方向に押しつぶした六角形。相対する 2 つの柱面が大きく、残り 4 面は極端に狭い。
  • 大きな面を正面から見ると四角形に見える。c軸は柱の軸方向(大きな面に平行)。
  • 「扁平の度合い」0 ≒ ふつうの角柱氷晶(G1a)。

参考文献

  • 菊地勝弘・亀田貴雄・樋口敬二・山下晃・雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類―グローバル分類―.雪氷,74(3),223–241.(G 群と G1 の定義、表3、図1-3 の代表写真)
  • Kikuchi, K., Kameda, T., Higuchi, K., Yamashita, A. and Working group members for new classification of snow crystals (2013): A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes and polar regions. Atmospheric Research, 132–133, 460–472.
  • 樋口敬二(1968):極地に降る雪.自然,23,38–46.